「日本に着いた時、私たちはうれしくて泣きました。いよいよ自由に向かっていく気がしたからです」
中国政府から迫害される恐れがあるとして来日した父娘だったが、そのまま入管施設に収容され、病気があった父親は収容中に死亡し、娘の難民申請も認められなかった。
父親の死亡は収容中に適切な医療を受けられなかったのが原因だとして、娘は日本政府に損害賠償を求めて裁判を起こしたが、大阪地裁は12日、請求を棄却した。
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だが、父娘は、そもそも収容されなければならなかったのか。
入国時に難民だと申告すれば追い返されるか収容される――。日本の難民申請者への対応をめぐっては、そうした問題がかねて指摘されてきた。
娘(44)と父(享年67)は、中国政府が認めていない宗教の信者だ。娘は中国で、信仰に加えて土地をめぐる問題で政府に繰り返し陳情したことで、政府や非公式の組織から何度も拘束や暴行を受け、国外へ逃げる機会をうかがっていたという。
近年目立つ中国人の難民認定
出入国在留管理庁によると、出身国別の難民認定数で中国は2020年に11人、21年に18人、22年に9人、昨年は5人が認定され、ミャンマーやアフガニスタンと並んで上位の常連国になっている。宗教弾圧を理由に難民申請をしている中国人も少なくないとみられる。
父娘は2018年10月、クルーズ船で長崎港に来た。父親は糖尿病や心臓の病気があり車いすを使っていた。
だが、難民だと告げ、帰国を…